親:「あ~、混んでいるね。今日はここで食べるのはあきらめて、コンビニでお弁当でも買って帰ろうか?」
子:「え~、ここのハンバーグが食べたかったな~」
政府や自治体にも、やって欲しいこと、たくさんあると思うが、少し置いておき、新型コロナウィルスを教訓として、ワクチンの効かなくなるかもしれない変異種含め、これからいかなる感染症が流行しても戸惑わないために、外食業界のあるべき姿は何か?
それはいかなる時にも、お客様に「安全、安心、信頼」を提供できることである、と考える。
さて、2021年1月14日に放送されたワールドビジネスサテライト(WBS)で興味深い内容が放送された。
以下、その放送内容をベースとしている。
その日、相次いで発表された飲食業界の決算報告の内容とは以下の通りである。
(注)SFPホールディングス:居酒屋チェーン磯丸水産を運営する会社
いずれの会社も、新型コロナウィルスの影響を受け、大きな赤字決算を見込んでいる。
ー目次ー
- |機械化/自動化による効率化を目指す「リンガーハット」
- |社内のノウハウを共有しテイクアウトに軸を移す「プレナス」
- |コロナ禍の課題「安心/安全/信頼」を解決できる一つの解はテイクアウト⁈
- |デリバリーを進化させる?新しいビジネスモデル、クラウドキッチン
- |まとめ
|機械化/自動化による効率化を目指す「リンガーハット」
リンガーハットの佐々野諸延社長曰く
- 過去に何度か赤字はあったが、ここまでの大きな赤字決算は今まで経験したことがない
- しかも依然として先がなかなか読みにくい
- 来期はなんとか1円でもよいので黒字化を図りたい
- ありとあらゆる経費を全て見直した
※経費見直しは、長崎県出身である男子体操選手の内村航平選手との所属契約を終了にまで及んだ(2020年12月末で契約終了)
また、今後の取り組みとして
- 調理のスピードアップや人員削減のため、厨房の機械化を進める
- また、今後は更に、店舗から工場への発注をAI化を進め、3月までに全店での自動発注を目指す
という。さらに付け加えて曰く
- 今のリンガーハットと同じことをやっていても頭打ちになる
- 厨房の効率化によって、常に均一した(品質を)、よりおいしいちゃんぽんを追求しないとけない
- アナログ部分の(接客?)サービスだけは絶対これはなくさない
|社内のノウハウを共有しテイクアウトに軸を移す「プレナス」
一方、コロナ禍の厳しい状況の中、工夫によりその影響をうまく回避できた企業もある。プレナスである。プレナスは、定食チェーンの「やよい軒」と持ち帰り弁当の「ほっともっと」を運営している会社。
2021年2月期、営業利益(予想)8億円(従来の2億4000万から上方修正)。巣籠り需要を受け、お持ち帰り弁当の「ほっともっと」の業績が好調に推移した。また、外食の「やよい軒」の売上も回復傾向にあるという。
- やよい軒では、テイクアウト専門のコーナーを隣接して設け、一つのつながった厨房で運営しているという。
- 業績好調の「ほっともっと」が持つテイクアウトのノウハウをやよい軒でも活かす取り組みである。
- 弁当容器も「ほっともっと」と同じものにしてコストを削減、また一つになった厨房の人員配置などで効率化を図った。
- 従来の「やよい軒」での厨房のマニュアルに、「ほっともっと」で培ってきたお弁当のマニュアルを共有することで、「やよい軒」でも「ほっともっと」と同じテイクアウトの仕組みが導入できている。
- 「やよい軒」はテイクアウト事業に力をいれていて、昨年12月には全国373の全ての店舗に広げた(展開のスピード感)
- 「やよい軒」の売上高(前年比)、2020年4月に約50%(5割)に落ち込んだ売上高を、2020年11月にはおよそ約90%までに回復
- プレナス広報室曰く、先行きは不透明でまだ見えていない部分もあるが、「やよい軒」に関してはテイクアウトの方をさらに強化したい、と。
|コロナ禍の課題「安心/安全/信頼」を解決できる一つの解はテイクアウト⁈
上述している大手両社は、いずれも先行き不透明としての中であるが、その取組み内容は大きく異なる。
▶リンガーハットは、接客サービスというアナログは残すも、あとは機械化し自動化(AI)し効率を上げ、コストを徹底的に抑える、という施策。
モノづくりの工場等では、機械化や自動化(AI)による効率化は、キャッシュフローとしての人件費を抑え、品質を安定させ、更にコロナ禍でいえば、従業員のクラスター発生による稼働停止のリスクを下げるも期待できるため、改めて見直されているところもある。
▶一方プレナスは、自社で積み上げてきたノウハウや強みを社内で活用し融合させるという施策。
ノウハウとは、無形で「見て学べ」というものも多いが、有形化されているものであれば、従業員の作業マニュアルはまさにそれである。お弁当の容器一つとっても、長年の実績の中で、必要とされる機能や役割に対して試行錯誤の上、改良されてきたモノであれば、品質的にもコスト的にも、ノウハウの塊である。そういったノウハウを全社で共有し、活用し、融合させる。ノウハウが、作業マニュアルと有形化されていることだけでも、企業として素晴らしいと思う。
過去のブログの記事で何度も似たようなことを言及してきたつもりだが、記録されていることによって、改善される。
人間は忘れる生き物である。忘れれば、同じミスを繰り返す。記録されていることが、進化のはじめの一歩として重要である。
そして、会社の中のヒト、人財の知恵(ノウハウ)が進化するベースとなる。これができているからこそ、失敗は失敗でなく、成功の元となりえる。そこには、長い時間かけて、コツコツ積み重ねてきた成果が詰まってくる。
「テイクアウト」のノウハウが、コロナ禍のプレナス(やよい軒)をより高いレベルへ価値を上げようとしている、そんな風に感じた。
来店してくれた親子は、込み具合によって、外食を回避することもできるが、テイクアウトという形で来店前に脳裏に焼き付けた楽しみを享受できる、そういった選択肢がある。
AIやIT、カメラやセンサの技術を駆使し、オンライン上やWeb店内の混み具合をリアルタイムにモニタリングし、それを見える化し提供するのもよいかもしれない。
スポーツジムみたいなところは、それが必須になるかもしれないが、飲食であればテイクアウトできるという選択肢が十分な武器になる。
来てくれた人が、
「混んでいるみたいだな~、今日はじゃあテイクアウトで帰ろっか」
で満足できる。そしてそれは、間違いなく「安全、安心、信頼」につながっている、と考える。
付け加えるなら、来た道を歩いて戻るのは決してロスではない。外出自粛により、外に出て歩くことに喜びを感じる人は決して少なくない。これは自分自身も強く感じていることである。
|デリバリーを進化させる?新しいビジネスモデル、クラウドキッチン
同番組では、以下の内容もあり、テイクアウト同様に好調なのがデリバリー市場であるという。市場規模は、去年(2020年見込み)、前年4182億円から、6030億円と44%上昇。
その追い風を受けて、クラウドキッチンというビジネスモデルが急拡大しているという。クラウドキッチンとは、客席はなく、例えば、2坪ほどスペースにガスコンロや冷蔵庫が備え付けられた厨房(キッチン)がある部屋を複数備えた、デリバリー&テイクアウト用の拠点である。
(ベンチャー企業のOur Kitchenが運営、2020年10月に白金店をオープン)
デリバリーは緊急事態宣言の対象外なので営業できる、また自前で店舗を構えて運営するよりは、コスト面で安く抑えられるのが強みであり、都内を中心に急増しているという。
デリバリー大手の出前館も、前月20年12月、新たな配達機能を備えたクラウドキッチン旗艦店を開設、デリバリー事業がどの様な進化を遂げるのか楽しみである。
|まとめ
- 大手でも先行きが見えずに迷っている、でも止まっているわけではない、自ら考え行動している。
- プレナスの様に、自社の強みである「テイクアウト」のノウハウを活かし、そこに重きを置こうとしている企業もある。
- クラウドキッチン、シェアキッチンの様に、小規模だが低リスクで始められる、新しいビジネスも生まれてきている
コロナ禍の厳しい環境の中、飲食各社は「業態転換」や「デュアルモード化」等により、「新しい日常」に適した、飲食店のあるべき形を模索している。
各社それぞれ、扱っている素材、料理、お客等それぞれの環境を考慮し、自社の強みやノウハウ、人財を掘り起こし、再認識し総動員して活かすことで、めざすところをはっきりさせ、行動に移している。
そしてその行動の先は、コロナ禍における「安全、安心、信頼」につながっている。
その中の氷山の一角にすぎない情報かもしれないが、この投稿が、何か少しでもヒントになれば幸いです。
<追記>
今回、話として省いたが、和民の業態転換も、外食での安全、安心、信頼を追求する、素晴らしい行動であると思う。別途、下記URLのYouTubeにて紹介してますの、ご視聴頂ければと思います。
【新しい日常】和民(ワタミ)、居酒屋が変わる、最新最高レベルのコロナ対応店(焼肉の和民)とは?
以上
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<関連情報へのリンク>
www.wisdom-tolive-positively.com
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