『新しい日常』へのシンプルなアプローチ

変化の大きな時代、健在化する様々な問題に対して『新しい日常』につながるヒント(⁈)を共有します

『新しい日常』世界が注目!佐賀市におけるCO2有効活用への取組み

植物は光合成の時に、二酸化炭素(CO2を吸収して、酸素を出す働きをしている。
植物は光合成により養分がつくられ成長の助けとなる。
二酸化炭素(CO2は植物に必要であり、植物の成長に一役かっている。
小学校や中学校で学んだことである。

さて、菅首相が、所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を実質0にする」といった方針を明確に表明したことを皮切りに、日本でも世界(特にEU)に遅れながらも環境問題への意識が高まっている。とてもよいことであると思う。

例えば、我々の生活で必要となる電気などのエネルギーを火力発電所でつくったり、ガソリンを燃料とする自動車に乗ったりすることで、化石燃料を燃焼させ、温室効果ガスの一つである二酸化炭素(COが排出される。

それらの代替技術として、生活で必要となる電気でいえば、太陽光発電に加え、最近では洋上の風力発電などが注目されている。

また、自動車でいえば、電気自動車といったEV化が注目されており、2020年12月25日に経済産業省が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」の中には、2030年代半ばまでに新車販売を全て電動車両にすることが盛り込まれている。

このようなことを背景に温室効果ガスの一つである二酸化炭素(CO2は今や完全に「悪者扱い」である。

そんな中、先日、2021年1月14日に放送されたモーニングサテライトにて、世界が注目するニッポンのCO2回収技術と題した特集で、佐賀市の素晴らしい取組みが紹介された

 

ー目次ー

 

CO2回収技術開発する東芝エネルギーシステムズ

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世界が注目する佐賀市の取組み

福岡県にあるバイオマスを燃やすタイプの火力発電所、三川発電所(シグマパワー有明)には、発電所から出る排ガスからCO2のみを分離し、回収する設備が併設されている。開発したのは東芝エネルギーシステムズであり、バイオマス発電所から排出されるCO2を分離回収するのは世界初

  • 2020年10月から実証運転開始
  • CO2の分離回収には、アンモニア化合物であるアミンの水溶液が使用されており、温度が低い(約40℃)とCO2を吸収し、温度が高い(約120℃)とCO2を放出するという性質を利用した化学吸収法を用いている。
  • 排ガス中のCO2の90%以上が回収可能。
  • 吸収したCO2は(実証運転中である)現状は大気に放出しているが、最終的には、船舶輸送して海底地中に貯留する。
  • CO2回収~貯留までのプロジェクトにかかる費用は約200億円(国が負担)。
  • 【追記】二酸化炭素地中貯留技術開発に関して、J-Power(電源開発株式会社)でも、コスト削減を図るため、浅い地盤での貯留が可能となる様な技術開発に取り組んでいる。

CO2有効活用における佐賀市の取組み

佐賀市では、上述の様な回収したCO2の有効活用に取り組んでいる。佐賀市バイオマス産業推進課は、同市の清掃工場にてゴミを焼却する際に排出されるCO2をアミン水溶液で分離回収。

  • 清掃工場から排出される一日約200トンのCO2のうち約10トンが回収されている
  • 清掃工場にCO2の分離回収設備を併設し、有効活用しようとする試みは“日本初”。
  • 投資額は14億5000万円(国からの補助金:5億円)
  • 炭酸水等食品として摂取しても問題ないレベルまでCO2をきれいにしてタンクに貯める。
  • タンクに貯められたCO2は、清掃工場に隣接する事業者(現在3社)に配管で気体のまま送付、売却している。

CO2を有効活用する事業者①:グリーンラボ

グリーンラボは、再生エネルギーを利用した農業を推進する農業ベンチャー企業

ここで栽培しているのはバジルであり、小さな面積で、高い生産性が可能な、縦型水耕栽培を採用している。この栽培方式に、CO2濃度を高めることにより、更に成長を促進させることによって、通常の1.3倍の収穫が望めるという。

植物工場に関しては、CO2濃度を高めるというのは一般的であるが、グリーンラボにとってパイプを通じて送られてくる佐賀市のCO2は価格的な面でメリットが大きい(市販されているボンベのCO2に比べて価格はおよそ1/6)。

2020年11月 実証実験開始、現在効果の検証中。

|CO2を有効活用する事業者②:アルピーダ

アルピーダは、藻類(そうるい)を原料に化粧品やサプリメントを展開するベンチャー企業

ここではヘマトコッカスという藻類の培養増殖を行っている。2段階で培養増殖をしており、最初のステップはCO2濃度の高いエアにより光合成を促す、次のステップでは巨大な培養槽(プール)にうつし、培養液中に細かい気泡状にしたCO2を溶かし込むことで有効的な増殖を促す。

現在2haの敷地に新たに約21ha培養地を拡張することで、将来的なコストダウンをめざす。

佐賀市の今後の展開

佐賀市は、CO2の有効活用でこれまでに40億円以上の経済波及効果を生んだとみている。現在、50社以上が佐賀市の取組みに関心を示している。

現在の施設ではCO2供給量にまだ余裕あるが、配管による供給では限度があるため、CO2を液化してタンクにつめて運ぶことにより、活用範囲を広げていくことを検討中。

当面の目標はCO2の販売を黒字化することであり、農業以外での活用方法、例えばドライアイスを製造しているメーカーに販売できないか等模索中である。

佐賀市自身もオランダでCO2を様々な分野で活用した事例を視察して学び、それと同じ様なことが日本でもできるはずだと考えている。

佐賀市の取組みは海外からの視察も多く、世界中から非常に注目度されている。

間を取り持つ中間的な技術の存在とその重要性

これらの佐賀市の取組みを聞いて、温室効果ガス排出0の目標に対して、ダイレクトで効果的である、太陽光発電風力発電、自動車のEV化等「CO2を出さない」施策だけを進めればよいのではと考える人もいるかもしれない。

モノづくりの生産技術者であった自分の考えとしては、必ずしもそうは言えないと考える。

例えば、自動車で言えば、今でこそEV化による電気自動車へ期待が現実を帯び、実現することが高まる環境になってきたが、ここまで至るには、トヨタ自動車における「ハイブリッド車」の技術が大きく貢献してきたと考える。

ハイブリッド車とは、2つ以上の動力源を持つ自動車であり、一般的にはガソリンと電気2つの動力が備わった自動車である。

技術力の高いトヨタ自動車が、電気自動車だけに特化せず、戦略的にハイブリッド車マイルストーンとして力を入れてきたのか?

一瞬でひらめくこともある「アイデア」の段階と異なり、そのアイデアを現実に落とし込み「実用化」される段階に辿り着くためには時間が掛かる。何かと慣性が大きいのである。

電気自動車関連でいえば、先ずは法的な問題が出てくるかも知れない。燃料(電気)供給ステーションの設置場所や設置数が問題となるかもしれない。また、バッテリー蓄電量やバッテリー劣化や寿命をどう見るかが問題となるかも知れない。

スマホの様に充電量が半分以下になって、その後加速的に電池の充電量が減り、予想外に早く無くなって、少し使うのをやめておこう、みたいなことは自動車の運転中では許されない。命取りの問題になるからである。

自動車メーカーの最大の強みは、実際に自動車という乗り物を世に出し続けてきた「実績」であると考える。その実績の裏で、「運転の楽しさと安全性の追求」における、様々な試練を乗り越え、築き上げてきた膨大なノウハウがそこにはある。

あくまで個人的な推測であるが、それゆえに、安易に電気自動車を世に出す様なことはせず、数十年という単位で先を読みながら、ハイブリッド車という、ガソリン車と電気自動車の間を取り持つ技術を、戦略的な位置づけとして据えてきたのでは、と考える。

事実、トヨタ自動車ハイブリッド車の技術貢献度は大きかったし、これから、オールEV化に至るまでの過渡的な道のりにおいても、依然としてその存在意義は大きいと考える。

鉄道で言えば、JR東日本。現在、新型コロナにおける外出自粛やテレワークの影響を受け、利用客数も減少しており厳しい状況なのが鉄道業界である。

JR東日本は、一早く終電繰り上げを提案し、繰り上げにて創出された時間をホームの安全ドア設置に充てること発表した。 また、満員電車の解消を図るべく、時差通勤におけるポイント還元や時間帯別料金の導入検討、輸送が目的ではなく、駅を目的地とするエキナカの拡大(東京駅モデルの刷新)といった、非輸送ビジネスへ軸足をシフトする事業構造改革も進めようとしている。

JR東日本がこの様な改革を進められる背景には、2001年に開発導入した電子マネーカード「SUICA(スイカ)」の存在がある。当時、財布に入れ、鞄や服に入れておきさえすれば、何もすることなく、改札口を通過できる様なことまで想像させたICカードの技術。

現実的には、カードを読み取り機にまで近づける形が落しどころとなったが、切符を買うために券売機に並ぶことが解消され、コンビニを含む多くの店舗で電子マネーとして使える便利さから、20年経とうとしている現在でも健在。

 間違いなく、コロナ危機を乗り超えるための今後の方針や施策にも大きな貢献をしてくる。

ICカードの理想と現実の間を取り持ち、かつ、これからのJR東日本の将来を取り持つ、それが「SUICA」であると考える。

これらの例の様に、「夢や理想」と「現実」を、技術の難易度や時間的なハードルからの落しどころとして生まれた「間を取り持つ技術」は、ひとたび落ち着けば、長い期間ディファクトスタンダードとしてその役割を果たすものも少なくないと考える。

|まとめ

佐賀市の取り組むCO2有効活用の事例も同じと考える。CO2を出さない様にするのでなく、出てしまうCO2を活用するという発想の技術は、100年後には不要となるかもしれない。 逆に言えば、100年後に不要とするための不可欠な技術であるかもしれない。

過渡期の変動を補完したり、技術的なハードルやコスト的なハードルからの実用化に至るまでの長い期間を支える技術となるかも知れない。

環境問題は、今後バイデン政権(まさに本日)となるアメリカも含め、世界中が関心を抱く大きな問題であり、これからの『新しい日常』において避けることのできない課題が多数ある。

解決策は決して一つではなく、多くの解決策がある方が、より安全で、安心で、信頼できる『新しい日常』につながるとシンプルに考える。

世界に注目されながら環境問題に取り組む「佐賀市」、佐賀市」と一緒になって社会問題解決に貢献しようと尽力する「日本のベンチャー企業」の皆さんの今後の活躍に期待する。

以上

 

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