仕事の効率を上げる手法として、「PDCAサイクルを回す」ということを耳にする。
PDCAサイクルとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(確認/評価)・Action(改善)を繰り返すサイクルのことであり、製造職場での生産管理や品質管理などの管理業務において、「継続的な改善」を図るため手法として、一般的に紹介されている。当然であるが改善をするべく「解決したい問題」が、そこにはある。
小生の経験でもそうであるが、何かあると「PDCAを早く回して改善しろ」と上層部から言われるが、そんなに簡単にこのサイクルは回らない。特に抱える業務(問題)が過多になると、計画(P)を立て、その計画(P)を実行(D)するまで展開するが、そこで止まってしまう。
いわゆる「やりっぱなし」になってしまう。
そこには主として2つの要因があると考える。
★一つ目は、業務(問題)過多を背景に、計画(P)をたて、無理してなんとか実行(D)までこぎつけるが、いつの間にか「実行(D)すること(作業)が目的」となってしまうこと。
★二つ目は、いざ確認/評価(C)するステップになった時に、「何を?」「どう?」確認/評価(C)し、その結果に対する「判断基準」が事前に準備されていないこと。ゆえに、確認/評価(C)のステップに速やかに移れず、手が止まってしまうこと
そこで、PDCAを次の様にモディファイすることを提案したい。
「G-CAPD」とする。
まず、あたまにつけたGは、「Goal」のGである。「ゴールイメージ」を最初(あたま)にしっかり置くことを意味する。
これから問題を解決(改善)する「目的」は何か?また、その「目的」を達成するためには、「どんな指標(ものさし)」で「どうなる」必要があるのか?
つまり「ゴールイメージ」を最初にしっかり置くとは、「目的」「目標(値)」を事前に明確にしておくことである。
次にPDCAの順番をCAPDとしている。
Cから始める理由としては、これから解決(改善)しようとする問題に対して、「Goal(G)」で設定した「目的」や「目標(値)」を達成するために、「指標(ものさし)」が何でどうあるべきかを掲げたが、それが「現時点」でどうなっているか、レファレンスやベンチマークとして、事前に、きっちり確認/評価(C)し、果たして「目標(値)」に対して、どのくらいの「ギャップ」があるかを、把握しておくことが重要と考えたからである。
この「ギャップ」がどうなったか? 実行(D)後に、同じ方法で、確認/評価(C)できる様にする。これが、実行(D)後に、確認/評価(C)ステージで手が止まること防止すると考えた。
「レファレンスやベンチマークを事前に取ることは、計画(P)の中に含まれている」と主張する人もいるが、「サイクルとして繰り返し回すこと」を前提としているのに、初回の計画(P)にだけ多様な意味を持たせるのはシンプルでないこと、また上述のように「実行(D)の後で確認/評価(C)が止まってしまいやすいこと」を考慮すると、確認/評価(C)をあたまに置く方がスマートであり合理的であると考えた。
事前に、確認/評価(C)をするのポイントは、「指標(ものさし)」を定め「目標(値)」とするときに、「パラメータ」となりうる条件をきっちり押さえ、やり方を固定化し、「再現性がある」形にしておくことである。
次に、「現時点」は「問題がある」のだから、その指標の状況は、「目標(値)」のそれを比べ、「ギャップ」がある。その「ギャップ」をなくすべく、展開していくべき改善(A)施策が、アクションアイテムとなる。
よって、『このアクションアイテム群を展開(計画P→実行D)すれば、「目標(値)」に対する「ギャップ」が無くなる』、ための「設計(組み立て)」が、重要となる。
「データ解析によるシミュレーション」をするのもよいし、現象に対する「メカニズムの仮説」を立てるのもよい。これらをきっちり組立、設計しておくことが、「サイクルを回すための原動力」となる。
例えば、仮に実行(D)後の確認/評価(C)において、結果として「ギャップ」が狙い通りに無くならなかった場合に、「何が間違がっていたのか?」「何が不足していたのか?」「シミュレーションに使用したデータがよくなかったのか」「方法がよくなかったのか」「メカニズムが間違っていたのか」等、考察するための拠り所となる。
この考察が深まれば深まるほど、次のサイクルへのモチベーションは上がり、問題解決(改善)は前進する。
「建設的に実績を積んで、かつ速やかに前に進める」か「断片的/直観的で、何かあるたびに振り出しに戻り、時間がかかる割には前に進まない状況に陥る」か、分かれ道となる。
必要なアクションアイテムが出揃ったら、今度はそれらを、いつまでに、どの様なステップで、進めていくか、実行計画に落とし込む。ここまでくればいつものPである。
それぞれの「アクションアイテム」を「いつまでにやらないといけないか」「だれがやるか」「パラレルに進められることは何か」「一番時間的に律速となることは何か」等をよく考え、計画表に落とし込み、調整をしていく。この段階で、どちらにころぶかわからない要素がある項目に対しては、進めるところまで計画線を引き、その先に分岐点を意味するチェックポイント(CP)を置いておくとよい。
計画(P)ができたら、その通りに実行(D)する。
一通りのアクションアイテムにおいて実行(D)が完了した段階で、再び確認/評価(C)に戻るが、この時にはもう立ち止まらない。事前に決めた方法を模倣し、キーとなる「指標(ものさし)」がどう変化したかを確認し、「目標(値)」との「ギャップ」は狙い通りに無くなったのか否かを確認/評価(C)すればよい。
達成していれば、「目的」とも照合し、「ゴールイメージ」に対して違和感がないか確認する。
未達成の場合には、事前に想定し、設計/組立した内容を振り返り、うまくいかなかった原因(要因)を考察、更なる改善のための新たな「アクションアイテム」を設定していく。
こうして「G-CAPD」は回っていく
以上
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