『新しい日常』へのシンプルなアプローチ

変化の大きな時代、健在化する様々な問題に対して『新しい日常』につながるヒント(⁈)を共有します

『新しい日常』未来のために水素エンジン車という「選択肢」を増やすトヨタ【脱炭素社会】

トヨタ自動車が水素エンジン車で24時間耐久レースに参戦、水素のみを燃料としたクルマでレースを走るのは世界初。

豊田章男社長がドライバーも務めたこと、使用された水素は福島県浪江町で製造した再生可能エネルギー太陽光発電)で製造したモノであることも注目された。

豊田章男社長曰く、

カーボンニュートラルの実現に向けた選択肢の一つとして水素エンジンの開発を進めたい

これには、次世代のエネルギーとして注目されている水素の普及を図るべくその需要を増やしたい、また、自動車業界で培ってきた高度な技術であるエンジン技術を継承することでエンジン製造に関わってきた人達の雇用を守りたいという狙いがあるという。

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トヨタ自動車『水素エンジン車』開発の狙い

 

ー目次ー

 

水素エンジン車とは

水素をエネルギーとして走るクルマには燃料電池車(FCV)があるが、水素エンジン車は何が違うのか?違いのポイントは「どのようにして水素のエネルギーを動力に換えているか」である。

燃料電池車(FCV)は、水素を空気中の酸素と反応させて発電し、その電力を用いてモータを動かすことによって駆動力を得る。

*ちなみに、トヨタ自動車は2014年世界に先駆け燃料電池車「MIRAI」を販売。

現在、燃料電池車の国内販売台数(他社製含む)はおよそ4600台でありまだまだ普及しているというレベルにはいたっていない。

一方、水素エンジン車は、既存のガソリン車と同様、内燃機関である「エンジン」を搭載しており、ガソリンなどの化石燃料の代わりに、水素を燃焼させピストンを動かすことによって駆動力を得る。

化石燃料を燃やさないことから二酸化炭素(CO2)が”ほとんど”発生しない。

*”ほとんど”というのは厳密にはエンジンオイルの燃焼でごくわずかなCO2発生の鑑みてのこと。

燃料電池車が一回の水素供給で700~800kmの距離が走行できるのに対して、水素エンジン車(今回のレース仕様)では、50kmの距離であり、水素を効率よく燃焼させていくことが大きな課題の一つである。

【参考】「水素エンジン」車レース出場 脱炭素へ次世代の車なるか NHK NEWS WEB

水素をエネルギーとする車が普及するための課題

21日放送のワールドビジネスサテライトWBS)では、トヨタ自動車が水素エンジン車で24時間耐久レースに参加する内容を報じた上で普及への課題を2つ提起した。 

水素ステーション(水素を補給する施設)に関しては、現行ガソリンスタンドが3万カ所を超えるのに対して、およそ160カ所しかないという。

水素は製造、輸送、貯蔵のそれぞれのプロセスでコストがかかり、ガソリンや天然ガスと比べて割高なのが課題という。

水素ステーション設置コストに建設費4億、その運営費に年間4千万円必要。

そんな中、セルフで水素を充填する無人水素ステーション(日本エア・リキッド、全国13施設の内2施設で展開中)を展開し、運営費をおさえながら営業時間拡大を図ろうとしている企業もある様だ。

政府は2030年までに現在の5倍以上にあたる、900カ所の設置を目指すというが、このコストに関してどう持続可能的な解決をしていくのか不透明である。

次に2重検査とは。

水素エネルギーで走るクルマには水素を貯蔵するタンク等が備わっており、そのタンク及び配管の漏れ等に伴う事故を防ぎ安全性を確保するために定期点検することが決められている。

従来の車検とは別で設けられており、その周期が異なることから、2重の手間が掛かるのが2重検査問題である。

検査時期がずれている要因の一つは、その管轄省庁の違いからという。

車検は国土交通省、水素タンクは経済産業省が管轄している。

国は一元化を図るべく、6月には大枠を取り纏める予定という。

【参考】トヨタ 24H耐久レースに投入 水素エンジン車の実力は? ワールドビジネスサテライトWBS)2021年5月21日放送

水素社会実現への取り組み方及び報道のされ方はこれでよいのか?

水素エネルギーによる水素社会の実現は、菅総理が世界に宣言した「2050年までにカーボンニュートラルを実現する(脱炭素社会実現)」を守るべく、日本が国としてきっちり取り組むべき大きな課題の一つである。

決して簡単なことでないことから、2050年まで継続的に取り組まざるを得ない「この課題」に対して「水素ステーションが高くて設置の進みが悪い」とか「管轄省庁が異なるから手間が掛かっている」などの細かいことをさも大きな問題として取り上げ「これだけをやっていれば大丈夫」と視聴者に勘違いを生じさせる様な取り上げられ方は少し残念である。

以前紹介した記事で、自工連を代表して豊田章男会長の発した言葉では「ライフサイクルアセスメント(LCA)をベースとした立ち位置で、日本人の雇用や外貨獲得による税収を守るべく、国のエネルギー変革が必要である」と訴えているのに対して、あまりにも国(政府)の対応は、スピード感もなく、その場しのぎ的なものに感じるのは小生だけだろうか?。

新型コロナでの対応の様に、足元の深刻な問題における対応もうまくコントロールできないのに、カーボンニュートラルに向けた長期的な課題に対する対応が「きちっとした戦略をもって」、「考えうる全ての問題を抽出しつつ」、「優先をつけながら」、かつ「包括的に解決していける」様な感じを受けない。

脱炭素の取組みに関しては既に数十年も世界から遅れていると言われている日本が「日本の技術力を活かし、水素社会実現で世界に追いつき、更にはリードしよう」としたいのであれば、課題は2つで、水素ステーションと二重検査のみ、みたいな問題の取り上げ方ではなく、マスコミはもっと大きな枠組みをもって国民に問題を提起するべきではなかろうか?

まとめ

大きな課題を解決し目的を実現するためには、ビジョンを明確にし、そのビジョンが成立するために考えうるやるべきことを全て抽出し、その影響度に応じて優先順位をつけて取り組むといった「やり方を変革していくこと」がこれからの時代では求められると考える。

トヨタ自動車を中心とした自動車業界は、彼らの技術でできることを全てに全力で取り組むことで「選択肢」を増やし、水素社会の実現に対して貢献しようとしていると感じる。その様な企業の努力に対して、国(政府)や自治体はどの様に主導して脱炭素社会の実現をしていくのか?

一年後になって、一年前と何も変わらない状況で、引き続き足元の状況に対処している様なやり方でなく、仮に後で間違っていたと分かったとしても、思い込みでなく広く俯瞰し、かつ本質を突き詰め、仮説をたて、影響度の高いものから優先的に検証していく様な包括的に対応する取り組みが、未来の『新しい日常』に向かってポジティブに前進するための一つの方法となるのではと考える。

以上

 

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